日弁連:刑訴法改正法案から証拠の目的外使用条項の削除を求める会長声明

本年3月2日に国会に提出された刑事訴訟法改正法案には、刑事手続において開示された証拠の複製等を、被告人若しくは弁護人が審理の準備以外の目的で人に交付、提示すること、電気通信回線を通じて提供することを全面的に禁止し、被告人がこれに違反したときには懲役刑を含む罰則を科す条項(開示証拠の使用制限条項)が含まれている。

しかしこの条項は、証拠の内容を問わず、また公開の法廷に提出された証拠か否かを問わず一律に使用禁止の対象としていることから、その使用理由が如何に正当なものであったとしても、審理の準備以外の目的で開示証拠を使用することは全て禁止されることになり、被告人の防御権を不当に制約することは勿論、裁判公開原則や報道の自由とも抵触するおそれが大きい。


http://www.nichibenren.or.jp/jp/katsudo/sytyou/kaityou/00/2004_04.html

(改正刑事訴訟法案の要綱)

(四)開示された証拠の目的外使用の禁止等
(1)開示された証拠の管理(第二百八十一条の三関係)
弁護人は、検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧又は謄写の機会を与えた証拠に係る複製等を適正に管理し、その保管をみだりに他人にゆだねてはならないものとすること。

(2)開示された証拠の目的外使用の禁止(第二百八十一条の四及び第二百八十一条の五関係)
被告人若しくは弁護人又はこれらであった者は、検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧又は謄写の機会を与えた証拠に係る複製等を、一定の目的以外の目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線を通じて提供してはならないものとし、所要の罰則を整備すること。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/houan/040302/keiji/youkou.pdf